自動運転、高度運転支援(ADAS)に関するニュースまとめ一覧(2 ページ目)

自動運転の世界は、いまどんなフェーズを駆け上がり、どこへ向かっているかーーー

そのヒントは、国内で自動運転の舵取り役を担う戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の動きを俯瞰するとみえてくる。SIPは、内閣府がリーダーシップをとり、府省庁の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより科学技術イノベーションを実現するために2014年に創設された国家プロジェクト。

2019年7月までSIP自動運転推進委員会構成員を務め、現在は国土交通省車両安全対策委員、経済産業省・国土交通省自動走行ビジネス検討会委員でもある、国際自動車ジャーナリストである清水和夫氏にSIP 第1期から第2期へと向かう自動運転分野のいま、サポカーと自動運転、物流・移動サービスとオーナーカー、安全と安心感、快適性といった、自動運転まわりのトレンドを聞く。

聞き手は、SIP自動運転推進委員会構成員でモータージャーナリストの石井昌道氏。


清水和夫氏

清水:いまニュースは、MaaS(Mobility as a Service シームレスにつなぐ新たな移動)とかトラックの自動縦列走行やロボットタクシーに注目が集まって、オーナーカーの自動運転は高額な高級車だけにある機能にみえて一般ユーザがついてこないという感じですよね。

需要や関心度としては、過疎地や物流の課題を救う手段として物流移動サービスのほうが高い。オーナーカーの自動運転フェーズはいま高速道路のなかにあって、歩行者事故の分野にはまだ至ってない。だからまだ「高速道路を行く高級車の車内でハンドルから手を離してスマホや雑誌をながめる」といったイメージしか浮かばないかもしれない。

でもね、最初は高額な高級車の自動運転技術であっても、その実現がないとレベル4へもステップアップできないし、オーナーカーがレベル3で培った技術は、物流移動サービスにも波及するから、やっぱり物流もオーナーカーも両面から進化していかないと。

石井:なるほど。では、安全と快適性について。これはどう違うのか。

清水:すでにACC(Adaptive Cruise Control)などはドライバーは当たり前のように使う機能に普及した。前のクルマにロックオンして追従していけば楽だし、最も左の走行車線を一定の速度で行くという選択もできる。そういう意味ではACCは自動車メーカーでは快適技術として位置づけられていた。で、ACCの延長線上に自動運転の技術が生まれてくるとは思いますけどね。

石井:安全と快適性のなかに、安心が入ってこないと、クルマとドライバーが共存できませんよね。

清水:これはもう永遠のテーマで、たとえばタイヤのグリップ性能とウェット性能のように、安全基準を満たしていても安心感はないという事象っていっぱいありますよね。ユーザがその製品に共感できるか否かは、やっぱり「安心かどうか」なんですよね。さらに安心なくして快適はないから、ユーザ目線でいうと安心が前提にあって、安心だから快適があって、楽しさもある。だから底辺は安心、その上に順に快適、楽しさがのる。

清水和夫氏

石井:開発現場では「開発すればするほど、壁が立ちはだかる」っていいますね。やはりレベル3はそうかんたんじゃないと。

清水:大事なのは社会やユーザが何を求めて、自動運転を手に入れたらどんな幸せがあるのか。カスタマーベネフィットみたいなところまで考えていかないと。いっぽうで、自動運転車両は高い買い物なので、スバルのアイサイトを10万円でつけるか、100万円の自動運転機能付き車両を買うかもいろいろあると想うし、駆ってくれないと技術は進歩しないし、普及しないとコストは下がらないし、と。負のスパイラルに陥っちゃう。

石井:その先はけっこう難しそうですね。

清水:高級車から自動運転レベル3が入ってきて、こんどはいかに大衆車に自動運転技術を入れ込んでいくかがカギですよね。でも日本はこれまで、軽自動車にエアバッグとプリテンショナーベルトを一気に導入させた実績を持つ国だから、「これがいいんだ!」って確信したら、オールジャパンでダーッてかなりの勢いで普及すると思いますね。

だから軽自動車側からサポカーが進化して、高級車カテゴリから自動運転がすすんでごその技術が大衆車へおりてくる。その出会うポイントがプリウスとかカローラといったCセグメントで、2024年か2025年といわれてますよね。


インタビュー全文はこちら


  • SIP cafe 自動運転ガイド
  • SIP cafe とは

    SIP cafe とは

    『SIP cafe』は直面する次世代モビリティについて考え、自動運転のいま、自動運転がもたらす未来社会について情報を発信していくコミュニティサイトとして2019年10月に開設。一方的な最新情報の発信だけでなく、広く多くの人たちが集まって議論していくための“広場”としての役割を担う。SIP cafeの主宰であり“マスター”の清水和夫氏は、「反対する意見もどんどんぶつけあって、議論していく場所にしたい」と語っている。

    » 詳しくはこちら
【無料ご招待キャンペーン対象セミナー】6月開催分…ヤマハに学ぶ新規事業の作り方、ロボタクシー最新動向 画像
プレミアム

【無料ご招待キャンペーン対象セミナー】6月開催分…ヤマハに学ぶ新規事業の作り方、ロボタクシー最新動向

レスポンスではスタンダード会員、無料会員の方を対象に、有料セミナーの無料ご招待キャンペーンを実施しています。

ティアフォーがロボットタクシーの実証を開始 画像
自動車 ビジネス

ティアフォーがロボットタクシーの実証を開始

自動運転の民主化を目指すティアフォーは、東京都臨海都心の限定区画でロボットタクシーによるサービス実証を開始した。

自動運転車1000台を百度に納車、年内に運行開始へ…中国江鈴汽車 画像
プレミアム

自動運転車1000台を百度に納車、年内に運行開始へ…中国江鈴汽車

中国国有の江鈴汽車集団は5月16日、百度(バイドゥ)と第6世代の自動運転車を共同開発し、最初の1000台を百度に引き渡した、と発表した。

6/26申込締切「ロボタクシー」サービスの今とこれから~市場と主要企業の最新動向~ 画像
プレミアム

6/26申込締切「ロボタクシー」サービスの今とこれから~市場と主要企業の最新動向~

株式会社イードは、「ロボタクシー」サービスの今とこれから~市場と主要企業の最新動向~を2024年6月28日(金)に開催します。

百度「Apollo」、第6世代の自動運転車発表…コストを60%削減 画像
プレミアム

百度「Apollo」、第6世代の自動運転車発表…コストを60%削減

中国の百度(バイドゥ)は5月15日、第6世代の自動運転車を、武漢で開催した「Apollo Day 2024」で発表した。

ルノー、レベル4の自動運転実現へ…全仏オープンテニスでシャトル運行 画像
プレミアム

ルノー、レベル4の自動運転実現へ…全仏オープンテニスでシャトル運行

ルノーグループは5月15日、レベル4の自動運転の実現を目指して、WeRide社と大規模な自動運転車の商業展開に向けた提携を結ぶと発表した。

いすゞが自動運転物流を強化、米Gatikに3000万USドル出資 画像
プレミアム

いすゞが自動運転物流を強化、米Gatikに3000万USドル出資

いすゞが米Gatikに3,000万USドル出資し、北米自動運転事業でパートナーシップを構築する。両社は自動運転レベル4のトラック・バス事業の開始を目指す。Gatikはミドルマイルで自動運転物流サービスを提供する唯一の企業であり、いすゞは資本業務提携を元に自動運転ソリューションに挑戦する。

新東名で自動運転の未来へ「路車協調実験」を開始 画像
プレミアム

新東名で自動運転の未来へ「路車協調実験」を開始

NEXCO中日本は、自動運転時代に向けた取り組みの一環として、新東名高速道路の建設中区間で「路車協調実証実験」を5月13日から開始する。この実験は、路車間通信(V2I)を活用し、より安全で快適な高速道路空間を実現することを目的としている。

ダイムラー、初のレベル4の自動運転セミトラック開発…プロトタイプ発表 画像
自動車 ニューモデル

ダイムラー、初のレベル4の自動運転セミトラック開発…プロトタイプ発表

ダイムラートラックは5月8日、同社初のレベル4の自動運転セミトラック、フレイトライナー『eカスケディア』のプロトタイプを発表した。

ティアフォー、新東名で自動運転トラックの実証実験開始へ 画像
プレミアム

ティアフォー、新東名で自動運転トラックの実証実験開始へ

自動運転ソフトウェア開発のティアフォーは、高速道路トラック向け自動運転システムの基本機能を開発し、2024年度より新東名高速道路での実証実験を開始する。5月2日に発表した。

マレリとヘサイが協力、ヘッドライトとライダーを合体…北京モーターショー2024 画像
自動車 ビジネス

マレリとヘサイが協力、ヘッドライトとライダーを合体…北京モーターショー2024

自動車部品の大手サプライヤーであるマレリと、自動車向けライダー(LiDAR、Light Detection And Ranging)でやはり大手のヘサイ(Hesai)グループは、マレリのヘッドライトデザインにヘサイのライダー技術を統合するための協力を発表した。

レベル4の自動運転が可能、ヴァレオの「SCALA 3 LiDAR」が米国で賞に輝く 画像
プレミアム

レベル4の自動運転が可能、ヴァレオの「SCALA 3 LiDAR」が米国で賞に輝く

ヴァレオは4月29日、「SCALA 3 LiDAR」が第17回オートモーティブニュースPACEアワードを受賞した、と発表した。この賞は、革新性、技術進歩、パフォーマンスを発揮した自動車サプライヤーに贈られる。

進化するスバルの「アイサイト」、一味違う技術…有料会員記事ランキング 画像
自動車 テクノロジー

進化するスバルの「アイサイト」、一味違う技術…有料会員記事ランキング

4月19~25日のプレミアム会員向け記事=ビジネス、キーパーソンインタビュー、人事情報に関する記事について、アクセス数を元に独自ポイントで集計したランキング。今週は、スバルのADAS・自動運転技術に注目が集まった。EV時代におけるマツダや日産の動向も上位にランクインした。

自動運転「レベル4~5」は実現しない? 国際学会が自動運転技術に警鐘 画像
プレミアム

自動運転「レベル4~5」は実現しない? 国際学会が自動運転技術に警鐘

4月上旬、コンピューターサイエンスの国際学会が自動運転車の安全性に懸念を表明した。AIを取り込んだ自動運転技術に注目が集まる昨今だが、学会の専門家は「技術にも実験データにも欠陥がある」と警鐘を鳴らしている。

一味違うスバルのADAS・自動運転技術…AMD Versal AI Ede Series Gen2をアイサイトに採用した理由とは 画像
プレミアム

一味違うスバルのADAS・自動運転技術…AMD Versal AI Ede Series Gen2をアイサイトに採用した理由とは

スバルは4月9日にドイツ ニュルンベルクで開催されたEmbedded World 2024でAMDと協業することを発表している。4月19日、この協業に関する記者向けの説明会を開催した。

    前 < 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 …10 …20 ・・・> 次 >> 末尾
Page 2 of 269