小野測器が発表したローノイズマイクロホンはどのくらい高スペックなのか?…新本社と共に披露

小野測器のローノイズマイクロホン「MI-1282M10」
  • 小野測器のローノイズマイクロホン「MI-1282M10」
  • 音響パワーレベルの測定イメージ
  • 音響パワーレベルの測定機器システム
  • 小野測器 代表取締役社長の大越祐司氏
  • 小野測器 執行役員の前山剛輝氏
  • 小野測器新本社のフロア図
  • 小野測器 ローノイズマイクロホンの商品企画担当、円城寺彩香氏
  • 小野測器 音響パワーレベル計測システム商品企画担当、伊藤幹也氏

デジタル計測器メーカーとして1954年の創業以来70年の歴史を持つ小野測器が、100年企業を目指して新本社を4月22日にお披露目した。当日は、合わせて注目の新製品となる超高性能ローノイズマイクロフォンも発表。同製品は今夏の発売を予定している。


新本社は「つながる」「らしさ」「遊び心」を大切に

自動車関連の計測器、さらには各種試験の受託、さらには音響・振動関連の計測機器、エンジン回転数や速度計、トルク検出器などの多岐にわたる計測機器・センサ類の開発販売を行っている小野測器。自動車をはじめ、鉄道や航空、工業製品などの幅広いジャンルで電子計測器を手がけているが、さらに昨年からはベンチマーキングレポート販売と呼ばれる、ターゲットとして選んだ車両の詳細なデータを自社で測定・販売する新事業もスタートさせている。まさに測定のプロフェッショナルとしての地位を築いてきたメーカーだ。

そんな小野測器が本社を横浜みなとみらい地区の横浜コネクトスクエアに移転。本社移転に際して同社の社長である大越祐史氏から、ベンチマーキングレポート販売をはじめとした同社事業の紹介などが語られた。さらに新本社はフリーアドレスであり社員相互のつながりをより強くできる効果を生むことについても紹介するなど、次世代の小野測器をここから作っていくという意気込みが語られた。

小野測器 代表取締役社長の大越祐司氏

さらに本社移転を手がけた執行役員の前山剛輝氏からは新しい本社を作るにあたってのキーワードとして「つながる」「らしさ」「遊び心」の3つを大切にしたコンセプトを披露。測定機器のメーカーで働く社員同士や客とのつながりをより一層大切にすることが大切にしたポイントだという。オフィスに入ると開放的なフロアは隅々まで見渡せる環境。職場のイメージを根本的に変えるためカフェのようなおしゃれなイメージを取り入れたのもこだわりだという。しかも12階からの眺望は素晴らしく、窓からはみなとみらい地区を見下ろす絶景もあり働く環境として魅力的と言える。

小野測器の新本社

微少な騒音を計測可能なマイクロホン

新本社のお披露目に引き続き、新製品の発表も行われた。こちらはローノイズマイクロホン「MI-1282M10」と呼ばれる測定用マイクだ。近年、家電や自動車機器、オフィス用品が発生する騒音をより小さくするという流れができている。これは新型コロナ感染症の影響で在宅ワークなどを通じて微細な音が気になりだした、EV化で車内の騒音に敏感になってきたなど、近年の世の中の動きが音に対する感度が変化していることも背景にある。その際に微少な騒音を計測できるマイクが必要になる。しかし小さな音を測定するためには自己雑音レベル(作動時にはマイク自身がノイズを発している)が低いローノイズマイクロホンである必要があるのだ。そこで小野測器が開発したのがローノイズマイクロホン「MI-1282M10」だった。

ここからは商品企画担当の円城寺彩香氏と、伊藤幹也氏による説明が行われた。この商品は自己雑音レベルが4.5dBであり、10dB台の測定が可能だ。音の単位として音圧レベル(dB)を使うのだが、ささやき声や寝息などが20dB程度、当日静かなオフィス内を測定したところ30dB程度だった。この数字を見ると10dBがいかに小さな音なのかが想像できるだろう。このスペックを持つローノイズマイクロホンは国内では初の製品化だ。従来は業界トップクラスのローノイズマイクロホンでも自己雑音レベルは6dB程度だったのに比べると、その高性能ぶりがわかる。


《土田康弘》

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