次世代に対するブリヂストンのアプローチ…エアレスタイヤにも試乗

商品設計基盤技術「ENLITEN」と、モノづくり基盤技術「BCMA」

使用済みタイヤのリサイクル

リサイクルまでを考えたエアレスタイヤ「エアフリーコンセプト」

ブリヂストンのエアフリーコンセプトを試乗
  • ブリヂストンのエアフリーコンセプトを試乗
  • 商品設計基盤技術「ENLITEN」と、モノづくり基盤技術「BCMA」に対する考え方
  • タイヤを構成する素材の割合
  • 日欧米によって異なるタイヤのリサイクル方法
  • 温かい地方でしか採れないゴムに代わる素材も研究中。グアユールという植物が注目されている
  • 比較的いい乗り心地を確保していたエアフリーコンセプト
  • コーナリングの安定感も必要十分である
  • 青い部分と外周の黒い部分がエアフリーコンセプト

11月末、ブリヂストンは東京都小平市にある同社の施設「ブリヂストン・イノベーション・パーク」にて、ジャーナリストとの交流会を開催。これからのブリヂストンについての紹介と意見交換を実施した。


◆商品設計基盤技術「ENLITEN」と、モノづくり基盤技術「BCMA」

ブリヂストンが進めている製品開発の方向性を知るために紹介されたのが商品設計基盤技術「ENLITEN」と、モノづくり基盤技術「BCMA」。まずは「BCMA」から紹介しよう。

「BCMA」というのはBridgestone Commonality Modularity Architectureの略。従来のタイヤ開発では要求性能に合わせてタイヤをゼロから開発することもあったが、今後はタイヤの開発時にケース、カーカス、トレッドといったようにタイヤを3つのモジュールに分けて開発し、それらを組み合わせることで効率よく要求性能を満たすことを目標としている。

ENLITEN(エンライトン)は商品性をいかに向上していくかということに注目した技術。たとえば、従来のタイヤづくりでは乗り心地とグリップといった相反する性能を向上する際に、どちらか一方の性能を犠牲にする傾向にあった。しかし、ENLITENの考え方はそうした性能を犠牲にしないため、まずはすべての性能を向上させる。つまりレーダーチャートそのものを大きくしておき、そこに特徴ある性能をプラスすることで、エッジの効いた商品としながらも犠牲になる性能が下がりすぎないようにするというような考え方だ。ENLITENを実現するためにある技術がBCMAと考えればいい。

商品設計基盤技術「ENLITEN」と、モノづくり基盤技術「BCMA」に対する考え方

ENLITENを採用したタイヤは2023年1月に欧州向けEV用タイヤとして「TURANZA 6」、同年5月に北米向けEV用タイヤとして「TURANZA EV」が発売されているほか、日本向けとして2023年にフルモデルチェンジしたいすゞ『エルフ』と、同年7月にフルモデルチェンジした三菱ふそうトラック・バスの『eキャンター』に「R202」というモデルが新車装着用タイヤとして設定されている。

◆使用済みタイヤのリサイクル

SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも、タイヤのリサイクルは今後の課題ではなく、今の課題になりつつある。タイヤの原材料は天然ゴム、合成ゴム、充填剤、配合剤、補強繊維、鋼材といったものがおもな材料で、このうち合成ゴム、充填剤、配合剤、補強繊維は石油由来のものだ。


《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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