次期BEV開発の状況とビジネスの見通し…Lead Innovationセンター 代表取締役 藤本雄一郎氏[インタビュー]

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来たる10月11日、「2020年代後半のBEVを取り巻く競争環境」が開催される。セミナーに登壇するのは、Lead Innovationセンター株式会社 代表取締役 兼務 大阪大学 大学院 工学研究科 招聘准教授の藤本雄一郎氏。

Lead Innovationセンターは、自動車OEMやティア1・2サプライヤーの研究開発や技術企画部門などをクライアントに持ち、自動運転や電動化などを始めとする自動車やエネルギー系、電子系などに関する研究開発と海外展開コンサルティングを提供する企業だ。自社での新事業立ち上げも幾つか行っている(ADAS向け動物飛び出し予測SW、青少年向け「先端技術の実践学習アカデミー」運営など)。

今回のセミナーは以下のテーマで進められる。

1.次期BEVアーキテクチャーによる業界構造の変革
(1)海外OEMの次期BEVスペックと、パワー系/情報系統合アーキテクチャーの構成
(2)中国OEMのBEV進化は、既に2010年代後半から
(3)OEMがBEVで粗利率10%以上を確保できる条件
(4)OEMと大手ティア1の優勝劣敗が鮮明になり、サプライヤーの攻めどころが変化

2.今後の欧米の充電インフラ、およびV2G等ビジネスの見通し
(1)主流となる充電容量と、CCS1と2、NACS、GB/T、CHAdeMOのどれが生き残るか
(2)エネルギー統合プラットフォーマーであるTeslaと、そのポジションにはなれない自動車OEMの異種格闘技戦
(3)電力需給調整市場などのアンシラリーサービスとBEVの本格連携の可能性

セミナーに先立ち、見どころを藤本氏に聞いた。
セミナーの詳細はこちらから。

■800V化は今後、高級車BEV以外にも拡がる

現在市場で販売されているBEVは、メインバッテリーの電圧が400V帯が主流となっている。一部の完成車OEMや高級車では800V帯の車種も出ているが、藤本氏は、海外では、低コスト車両を除き、ほとんどのBEVが800V帯に移行していく見通しだと説明する。

「現在は400V帯バッテリーのプラットフォームが主流ですが、ポルシェを先駆けとして、ボルボやアウディ、ベンツ、現代自動車、GM、BYD、吉利汽車などが800V帯を積極開発しています。2024年から2028年頃の間に、次世代のバッテリーEVのプラットフォームとして、800V帯が各OEMから次々と登場する見込みです。

同時に、低電圧系の電源システムも、現在主流の12-14V帯から48V帯も搭載する形に移行する見通しであり、特にヨーロッパのOEMやティア1で開発が先行しています。またテスラも、この高圧および低圧の容量アップ移行を両方推進しています。

このような動き、特に800V化は、日本では高級車の話と捉えられていますが、量産車に拡がることに注意を払う必要がございます。実際にはAやBセグメントでの標準搭載は困難かもしれませんが、Cセグメント以上の量産車においては、基本的に800V以上のプラットフォームがメインになるでしょう。」

また藤本氏は、800V帯および48V帯への移行は、欧米中のOEMが先行し、日系OEMはやや遅れている状態だと指摘する。そして、バッテリー電圧を高くすることによる急速充電時間の削減だけでなく、高速走行での電費の向上も見逃せないポイントだと説明する。


《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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