【ロイヤルエンフィールド スーパーメテオ650 試乗】100万円以下から買える、新時代の本格クルーザー…小川勤

ロイヤルエンフィールド スーパーメテオ650(アストラルブルー)
  • ロイヤルエンフィールド スーパーメテオ650(アストラルブルー)
  • スーパーメテオ650(右)はアストラルブルー/ブラック:97万9000円 インターステラグリーン:99万8800円 スーパーメテオ650 ツアラー(左)はセレスティアルブルー/レッド:103万9500円
  • フロント19インチ、リヤ16インチの車体構成。専用のハリスフレームに空冷の並列ツインエンジンを搭載
  • エンジンを低い位置に搭載する専用のハリスフレームを開発。高い直進安定性を披露しつつ、コーナリングではしなやかなハンドリングを約束
  • ロー&ロングなクルーザーらしいスタイルを実現。クラシカルかつオーセンティックなスタイリングはアメリカンクルーザーにはない雰囲気
  • 見た目はクラシカルだが、中身は最新の648cc並列2気筒エンジン。270度クランクは90度Lツインなどと同じ不等間隔爆発を持つ。並列2気筒ならではのクイックすぎないハンドリングも扱いやすさに貢献
  • 右のサイドカバーはメインキーで開閉が可能。USBソケットを装備する
  • 快適なシートはこの価格のモデルにしてはかなりコストのかかった高級仕様。長距離走行も苦にならない

3月の東京モーターサイクルショーで日本初お披露目となったロイヤルエンフィールドの『スーパーメテオ650』がいよいよ発売。同社が送り出す久しぶりの本格クルーザーは、2機種、5カラーを用意。モデルによっては100万円切りの価格も魅力だ。

◆アメリカンクルーザーにはない上品さを持ち、価格は嬉しい100万円切り!

フロント19インチ、リヤ16インチの車体構成。専用のハリスフレームに空冷の並列ツインエンジンを搭載フロント19インチ、リヤ16インチの車体構成。専用のハリスフレームに空冷の並列ツインエンジンを搭載

スーパーメテオ650が日本で発売になったら真っ先にワインディングに行きたいと思っていた。実は、今年の1月にインドで開催されたスーパーメテオ650のワールドローンチでも試乗し、コーナリング性能にかなりの手応えを感じてはいたものの、インドの路面は砂が浮き、穴が空いていたりであまり楽しめなかったのだ。

ワインディングに向かう道中、インドで感じた色々なことを思い出す。スーパーメテオ650は排気量の割に大柄。身長165cmの僕だとステップは少し前で、ハンドルも少し遠く感じる。足着き性もそれほどよくないが、そこに大きなストレスはなく、すべてが許容範囲である。

見た目はクラシカルだが、中身は最新の648cc並列2気筒エンジン。270度クランクは90度Lツインなどと同じ不等間隔爆発を持つ。並列2気筒ならではのクイックすぎないハンドリングも扱いやすさに貢献見た目はクラシカルだが、中身は最新の648cc並列2気筒エンジン。270度クランクは90度Lツインなどと同じ不等間隔爆発を持つ。並列2気筒ならではのクイックすぎないハンドリングも扱いやすさに貢献

しかし、スーパーメテオ650はちょっと大柄だからこそ、重厚感があり、高級感があり、迫力もある。そして、その佇まいはとても上品だ。各部を見渡すとどこにもエッジがなく、丸みを大切にした独特の優しさと美しさを持ち、アメリカンクルーザーにはない欧州ならではのセンスでまとまっているのである。

スーパーメテオ650はスタンダードとツアラーの2機種を用意し、日本上陸に際して嬉しかったのは、100万円を切ったモデルがあること。今回試乗したスタンダードのアストラルブルーは97万9000円。アストラルブラックも同価格で、ツートンカラーのインターステラグリーンは99万8800円。ツアラーは、シーシーバー付きのコンフォートシートとハイスクリーンを装備し、セレスティアルブルーとセレスティアルレッドの2色から選ぶことができ103万9500円となっている。

◆スポーツクルーザーと呼びたくなるコーナリングを披露

走り慣れた日本のワインディングで抜群のコーナリングパフォーマンスを披露。東京都杉並区のロイヤルエンフィールド東京ショールームではスーパーメテオ650以外にも全車の試乗(もちろん無料)が可能だ走り慣れた日本のワインディングで抜群のコーナリングパフォーマンスを披露。東京都杉並区のロイヤルエンフィールド東京ショールームではスーパーメテオ650以外にも全車の試乗(もちろん無料)が可能だ

スーパーメテオ650のエンジンは、世界中で人気を博している『コンチネンタルGT650』や『INT650』をベースに、クルーザー用にチューン。648ccの空冷並列2気筒は270度位相クランクの不等間隔爆を採用し、スロットルを開けた際の応答がとても良い。どんな回転、どんな速度、どんなシチュエーションでもライダーにとても良いフィードバックをくれるのだ。

市街地では4~6速の高いギヤをメインに使うことができ、その時のエンジン回転は低いからスロットル操作にはほとんど気を使わなくて良い。トルク感が豊かで、さらに気持ちの良い鼓動感が身体に染み込んでいくような感覚がある。またシフトタッチが物凄く良いのもこのエンジンの特徴だ。

高速道路の120km/h巡航も快適。その時もまだまだ余力を持っている。そして待望のワインディングではとても優雅な走りを披露してくれた。クルーザーというとハンドリングを作り込んでいないバイクも多く、すぐにステップを擦ってしまったり、前輪が思ったよりも外側を通って大回りしてしまったりと、中にはワインディングが苦手なモデルもあるのだ。

ツアラーにはシーシーバー付きのコンフォートシートとハイスクリーンを装備。スタイルにシャープさはなくなるが、快適性はとても高いツアラーにはシーシーバー付きのコンフォートシートとハイスクリーンを装備。スタイルにシャープさはなくなるが、快適性はとても高い

しかし、スーパーメテオ650はコーナーリングがとても得意だ。インドで感じた手応えが本物だったことに嬉しくなる。ホイールベースは長く、車重はそこそこあるが曲がり始めのレスポンスはまるでロードバイクのようで、どんなコーナーも思い通りにクリア。ステップを擦ってしまうことがあるものの、クルーザーにしてはバンク角は深く、スポーツライディングをきちんと楽しめる。

また、立ち上がりはダイナミックで、座り心地の良いシートにドンと荷重をかけたままスロットルを開けると、きちんと後輪が路面を掴む。その時の安心感はとても高いため、ライダーはさらに自信を持ってスロットルを開けられるような感覚になるのだ。クルーザースタイルならではのゆったりとしたポジションのまま、コーナーを豪快に駆け抜ける様は、まさにスポーツクルーザーと呼びたくなるほどワイルドで刺激的だった。

◆2人で楽しむバイクライフがメインならツアラーがオススメ

今回はスタンダードとツアラーでタンデムもしてみた。ライダー的なフィーリングにそれほど違いはないものの、パッセンジャーは圧倒的にツアラー派だった今回はスタンダードとツアラーでタンデムもしてみた。ライダー的なフィーリングにそれほど違いはないものの、パッセンジャーは圧倒的にツアラー派だった

今回は、スタンダードとツアラーを合わせて500kmほど走った。走行後は心地よい疲労感があったものの、上質なシートのおかげでお尻に痛みはない。スーパーメテオ650はロングツーリングもこなしてくれる相棒なのだ。

ちなみに一気に長距離を走る移動やタンデムの多いライダーには迷わずツアラーをオススメしたい。ハイスクリーンのおかげで高速道路の80km/h以上の巡航では明らかに身体に当たる風が少なく、120km/h区間では疲労感がかなり異なる。また今回はスタンダードとツアラーでタンデムもしてみたが、パッセンジャーいわくシーシーバーは相当頼れるとのこと。座面は小さいがシーシーバーに寄りかかっていられるため、段差を超える際にも不安が少なく、常にリラックスしていられるのだという。

ツアラーにはシーシーバー付きのコンフォートシートとハイスクリーンを装備。スタイルにシャープさはなくなるが、快適性はとても高いツアラーにはシーシーバー付きのコンフォートシートとハイスクリーンを装備。スタイルにシャープさはなくなるが、快適性はとても高い

日本での新たなクルーザースタイルを提案してくれそうなスーパーメテオ650。ロイヤルエンフィールドのオーセンティックなバイク作りはクルーザーになっても何も変わらない。今回は本国のメンバーとも箱根の山々を走り回ったのだが、彼らは本当にバイクに乗るのが好きだし、速くて上手い。ピュアモーターサイクリングを首脳陣や開発陣が実践しているのが伝わってきた。

2022年は全世界で83万台以上を出荷し、今後はさらなる販売台数の増加やラインナップの拡大を期待していいとのこと。また日本ではディーラーの数も増えそうだ。その勢いはまだまだ止まりそうにない。

ロイヤルエンフィールド スーパーメテオ650(アストラルブルー)ロイヤルエンフィールド スーパーメテオ650(アストラルブルー)

■5つ星評価
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★

小川勤|モーターサイクルジャーナリスト
1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

《小川勤》

モーターサイクルジャーナリスト 小川勤

モーターサイクルジャーナリスト。1974年東京生まれ。1996年にエイ出版社に入社。2013年に同社発刊の2輪専門誌『ライダースクラブ』の編集長に就任し、様々なバイク誌の編集長を兼任。2020年に退社。以後、2輪メディア立ち上げに関わり、現在は『webミリオーレ』のディレクターを担当しつつ、フリーランスとして2輪媒体を中心に執筆を行っている。またレースも好きで、鈴鹿4耐、菅生6耐、もて耐などにも多く参戦。現在もサーキット走行会の先導を務める。

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