ヒョンデが2023-24年に新型車を日本導入、モータースポーツ由来のモデルも

ヒョンデ・コナ・エレクトリック
  • ヒョンデ・コナ・エレクトリック
  • ヒョンデ N ヴィジョン74
  • ヒョンデ RN22e
  • ヒョンデ・コナ・エレクトリック
  • ヒョンデモーターカンパニー副社長の柳 源夏氏
  • ヒョンデ・アイオニック6
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ヒョンデモビリティジャパンは乗用車部門日本再参入1年を経過したことを受け、新たな施策や新型車導入計画等を発表するヒョンデブランドデイを開催した(5月16日)。

◆ユーザーの声を受けて

今回のブランドデイでは、これまでの振り返りのほか、『アイオニック5』のアップデート及び、新たなサービスプログラムが発表された。これらは現在のユーザーの声を重視し対応したものだ。アップデートは「アイオニック5ヴォヤージュ」グレードにAWDが追加されたほか、充電前にあらかじめバッテリー温度を高めるバッテリープリコンディショニング機能を追加したほか、初期充電出力を一時的に高めるブーストチャージングプログラムを採用。また、100台限定のリミテッドエディションが発売された。

ヒョンデ・アイオニック5ラウンジWDリミテッドエディションヒョンデ・アイオニック5ラウンジWDリミテッドエディション

サービスプログラムは、ヒョンデアシュアランスプログラムというもので、ヘルスケアとスタイルケアの2つに分かれている。ヘルスケアは法定点検、車検基本料金や完成検査費用、継続登録費用を全てヒョンデが負担するもの。また、電気自動車専用の低伝導性バッテリークーラントも無償交換する。これらはこれから注文するクルマだけでなく、2023年3月31日以前に販売されたすべてのアイオニック5にも適応。

もうひとつのスタイルケアは、車両が破損してしまった際の対象部品(バンパー、ドアミラー。、フロントガラス、タイヤ最大2本)を、1年ごとにいずれかを1件、年間最大10万円分まで無償で修理するものだ。なおこちらは2023年4月1日以降にオンライン注文の車両に無償付帯される。

◆秋から続々と新車導入

このブランドデイでは、ヒョンデが日本で展開される今後についてもヒョンデモビリティジャパン代表取締役の趙源祥氏より語られた。まずは『コナエレクトリック』だ。

ヒョンデ・コナ・エレクトリック(ニューヨークモーターショー2023)ヒョンデ・コナ・エレクトリック(ニューヨークモーターショー2023)

今回展示されているのは日本国内でテストを行っている車両だった。「3月にグローバルで発表されたコナンエレクトリックの日本販売は今年の秋に予定」とされ、「今月中旬の韓国販売に続き下半期にはヨーロッパ、アメリカ、そして日本で販売開始される予定」とのこと。

コナエレクトリックは、「よりコンパクトなサイズと先進的な商品性により、日本のお客様の多様なライフスタイルに対応できるように開発された。アイオニック5よりも幅広いお客様をターゲットとし、ゼロエミッションビークルに伴うライフスタイルの楽しみ方がさらに広がることを期待している」と趙氏。

そして今年下半期の発売に先立ち、「6月に渋谷を起点にした新たな広告展開を予定。今後下半期に非常にユニークなローンチマーケティングを連続で展開していく予定なので、期待して欲しい」とした。

ヒョンデ・コナ・エレクトリックヒョンデ・コナ・エレクトリック

続いて来年はじめにはヒョンデの高性能ブランド“N”初の量産型EV、『アイオニック5N』が導入予定だ。Nは2012年に誕生したヒョンデの高性能ブランドで、この“N”は、「Nブランドの生まれた地であり、グローバル開発センターがあるナムヤンを意味する。さらにNモデルの走行性能を評価するヒョンデテクニカルセンターがあるドイツのニュルブルクリンクサーキットも意味している」と説明。そしてこの“N”のロゴは、「道路やサーキットのS字カーブやシケインを表現したもの」でもあるという。

ヒョンデはWRC、WTCRなど様々なグローバルモータースポーツに参加し、好成績を残しており、昨年愛知県で開催されたラリージャパン2022では優勝も果たしている。これらモータースポーツへの参戦により得た技術を、「Nの量産車に着実に適応して来ており、『Nヴィジョン74』、そして『RN22e』などのコンセプトカーにもその技術が導入されている」と説明。そして、「アイオニック5Nを通じてEVでありながら、Nならではの爽快な運転の愉しさを提供する予定だ」とコメント。

ヒョンデ N ヴィジョン74ヒョンデ N ヴィジョン74ヒョンデ RN22eヒョンデ RN22e

最後はワールドカーオブザイヤー、ワールドEVおよび、ワールドデザインオブザイヤーの3冠を獲得している『アイオニック6』だ。

ヒョンデ・アイオニック6ヒョンデ・アイオニック6

日本ではアイオニック6をまずは、「マーケティング用に導入し、様々な場所で展示及び試乗会を展開する予定だ。これによって、ヒョンデのバッテリーEV専用ブランドである”アイオニック”をより多くのお客様に知っていただく機会としたい」とし、まずはマーケティング活動を通じてブランド訴求とニーズを探ることを示唆した。

◆日本市場での新たな挑戦

今回の発表にはヒョンデモーターカンパニー副社長の柳源夏氏も来日。「2022年、私たちのお客様の生活をより価値あるものにするモビリティブランドを目指し、ゼロエミッションビークルのラインナップと、オンライン販売という新しいビジネスモデルで再参入した。このようなビジネスモデルは世界のどこにもない新たな挑戦だ」と日本市場再参入に関して述べる。

ヒョンデモーターカンパニー副社長の柳 源夏氏ヒョンデモーターカンパニー副社長の柳 源夏氏

そして、「ヒョンデはこの1年間の経験をもとに、昨年とはまた違った顧客経験を提供したいと考え、顧客参加型ビジネスを通じてお客様と直接コミュニケーションし、最終的にはお客様から信頼されるブランドになるように努力する」という。そのうえで、「今年はさらに発展させる新たな取り組みを発表する。お客様からいただいたヒョンデへの愛情と関心にお返しできるよう最善を尽くす」とコメントした。

◆この1年を高く評価

昨年2月8日の再参入宣言以降、5月2日からアイオニック5と『ネッソ』の販売を開始。「すべてのプロセス、注文及び決済はもちろん、納車までオンラインで行われており、オンラインを通じて場所や時間の制約なく、クルマを購入できる体験を提供している」とこの1年を趙氏は振り返る。

ヒョンデモビリティジャパン代表取締役の趙源祥氏ヒョンデモビリティジャパン代表取締役の趙源祥氏

当初、オンライン販売に対する不安の声もあったが、実際の販売開始以降は、「簡単かつ主体的にお客様自身が購入を決定できるという点で、新鮮な経験だったというポジティブな評価を頂いている。この新しい販売方法は、顧客満足度の向上に寄与し、市場で新たなポジションを築いた」と話す。

アイオニック5についても、「発売前からEVに興味のある方々から多くの注目を集め、アジアブランドとして初めて日本カーオブザイヤーでインポートカーオブザイヤーを受賞するなど高い評価を得ている」と述べる。

また、顧客体験を拡大するためするために、昨年2月にオープンしたポップアップストア、ヒョンデハウス原宿を皮切りに、直営拠点であるヒョンデカスタマーエクスペリエンスセンター横浜や、東京丸の内、名古屋、京都、福岡へと日本全国に顧客体験拠点を拡大するとともに、「今後も日常生活の中で、ゼロエミッションビークルを身近に体験できるように拠点を拡大、展開する予定だ」。

また、オンラインでの体験拡大に向けて、「顧客管理データを高度化し計画的に管理することで、ニーズに沿った“カスタマイズドCXジャーニー”を提供し、今後もより魅力的なオンライン経験をお届け出来るようにデータ、もしくはテック企業との協業を通じてオンラインでのお客様とのコミュニケーションを継続的に強化していく」という。

メンテナンス体制に関しても、「どこにいても安心なカーライフを楽しんでいただけるように、北海道から沖縄まで44拠点の協力整備工場の設定が進んでいる」と語る。

ヒョンデブランドデイヒョンデブランドデイ

同時に、「オートバックスグループの旗艦店であるA PITオートバックスとの連携に続き、今後全国のオートバックスの店舗を通じて整備、メンテナンスを中心に連携、協業していくことについて検討中で、お客様の利便性向上と、メンテナンスに対する不安や、負担を減らしていく」とする。さらに、24時間のロードサイドアシスタンスや4月から稼働を開始したモバイルサービスカーの提供など、より安心出来るメンテナンス体制を構築している」。

◆多様なライフスタイルに向けて

昨年の販売開始以来、日本全国で既に700名のアイオニック5のオーナーが存在する。趙氏は、「日本での電気自動車マーケットシェアとしては約1.5%だが幅広い顧客経験を提供することで得られる高い満足度が数値以上の成果だ」とこちらも評価。

ヒョンデブランドデイヒョンデブランドデイ

「保有として多いのは関東地方だが、北海道の帯広から九州、沖縄まで全国に広がっている」と趙氏。ヒョンデのユーザーは、「新しいものを好み、技術への関心が高いアーリーアダプターと、実用性を追求するご家族持ちの40から50代の方々が多い」という。

ヒョンデブランドデイヒョンデブランドデイ

主な購入理由は、「未来志向のデザインとV2L機能を活用したカーライフの拡張性などだ。アイオニック5の様々な利点を活用して快適なキャンプをするなど、ゼロエミッションビークルならではのライフスタイルを楽しんでいただいている」そうだ。このように、「個人個人が自分に合ったニーズを追求することで、顕在化する多様なライフスタイルをさらにサポートするのがモビリティを通じたヒョンデの役割であり、ヒョンデが掲げるプログレスフォーヒューマニティの理念に外ならない」とその理念が日本市場で成立していることを強調した。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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