自動運転、高度運転支援(ADAS)に関するニュースまとめ一覧(267 ページ目)

自動運転の世界は、いまどんなフェーズを駆け上がり、どこへ向かっているかーーー

そのヒントは、国内で自動運転の舵取り役を担う戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の動きを俯瞰するとみえてくる。SIPは、内閣府がリーダーシップをとり、府省庁の枠や旧来の分野を超えたマネジメントにより科学技術イノベーションを実現するために2014年に創設された国家プロジェクト。

2019年7月までSIP自動運転推進委員会構成員を務め、現在は国土交通省車両安全対策委員、経済産業省・国土交通省自動走行ビジネス検討会委員でもある、国際自動車ジャーナリストである清水和夫氏にSIP 第1期から第2期へと向かう自動運転分野のいま、サポカーと自動運転、物流・移動サービスとオーナーカー、安全と安心感、快適性といった、自動運転まわりのトレンドを聞く。

聞き手は、SIP自動運転推進委員会構成員でモータージャーナリストの石井昌道氏。


清水和夫氏

清水:いまニュースは、MaaS(Mobility as a Service シームレスにつなぐ新たな移動)とかトラックの自動縦列走行やロボットタクシーに注目が集まって、オーナーカーの自動運転は高額な高級車だけにある機能にみえて一般ユーザがついてこないという感じですよね。

需要や関心度としては、過疎地や物流の課題を救う手段として物流移動サービスのほうが高い。オーナーカーの自動運転フェーズはいま高速道路のなかにあって、歩行者事故の分野にはまだ至ってない。だからまだ「高速道路を行く高級車の車内でハンドルから手を離してスマホや雑誌をながめる」といったイメージしか浮かばないかもしれない。

でもね、最初は高額な高級車の自動運転技術であっても、その実現がないとレベル4へもステップアップできないし、オーナーカーがレベル3で培った技術は、物流移動サービスにも波及するから、やっぱり物流もオーナーカーも両面から進化していかないと。

石井:なるほど。では、安全と快適性について。これはどう違うのか。

清水:すでにACC(Adaptive Cruise Control)などはドライバーは当たり前のように使う機能に普及した。前のクルマにロックオンして追従していけば楽だし、最も左の走行車線を一定の速度で行くという選択もできる。そういう意味ではACCは自動車メーカーでは快適技術として位置づけられていた。で、ACCの延長線上に自動運転の技術が生まれてくるとは思いますけどね。

石井:安全と快適性のなかに、安心が入ってこないと、クルマとドライバーが共存できませんよね。

清水:これはもう永遠のテーマで、たとえばタイヤのグリップ性能とウェット性能のように、安全基準を満たしていても安心感はないという事象っていっぱいありますよね。ユーザがその製品に共感できるか否かは、やっぱり「安心かどうか」なんですよね。さらに安心なくして快適はないから、ユーザ目線でいうと安心が前提にあって、安心だから快適があって、楽しさもある。だから底辺は安心、その上に順に快適、楽しさがのる。

清水和夫氏

石井:開発現場では「開発すればするほど、壁が立ちはだかる」っていいますね。やはりレベル3はそうかんたんじゃないと。

清水:大事なのは社会やユーザが何を求めて、自動運転を手に入れたらどんな幸せがあるのか。カスタマーベネフィットみたいなところまで考えていかないと。いっぽうで、自動運転車両は高い買い物なので、スバルのアイサイトを10万円でつけるか、100万円の自動運転機能付き車両を買うかもいろいろあると想うし、駆ってくれないと技術は進歩しないし、普及しないとコストは下がらないし、と。負のスパイラルに陥っちゃう。

石井:その先はけっこう難しそうですね。

清水:高級車から自動運転レベル3が入ってきて、こんどはいかに大衆車に自動運転技術を入れ込んでいくかがカギですよね。でも日本はこれまで、軽自動車にエアバッグとプリテンショナーベルトを一気に導入させた実績を持つ国だから、「これがいいんだ!」って確信したら、オールジャパンでダーッてかなりの勢いで普及すると思いますね。

だから軽自動車側からサポカーが進化して、高級車カテゴリから自動運転がすすんでごその技術が大衆車へおりてくる。その出会うポイントがプリウスとかカローラといったCセグメントで、2024年か2025年といわれてますよね。


インタビュー全文はこちら


  • SIP cafe 自動運転ガイド
  • SIP cafe とは

    SIP cafe とは

    『SIP cafe』は直面する次世代モビリティについて考え、自動運転のいま、自動運転がもたらす未来社会について情報を発信していくコミュニティサイトとして2019年10月に開設。一方的な最新情報の発信だけでなく、広く多くの人たちが集まって議論していくための“広場”としての役割を担う。SIP cafeの主宰であり“マスター”の清水和夫氏は、「反対する意見もどんどんぶつけあって、議論していく場所にしたい」と語っている。

    » 詳しくはこちら
【メルセデスベンツ Eクラス 試乗】自動運転に近づきつつある安全装備…諸星陽一 画像
試乗記

【メルセデスベンツ Eクラス 試乗】自動運転に近づきつつある安全装備…諸星陽一

ビッグマイナーチェンジが行われたメルセデスベンツの『Eクラス』。新型エンジンや従来型エンジンのパワーアップなどが注目されるが、その安全装備の充実も見逃せない。

ボッシュ、ドイツの公道で自動運転テスト走行を実施 画像
自動車 テクノロジー

ボッシュ、ドイツの公道で自動運転テスト走行を実施

ボッシュは、アウトバーンをはじめとするドイツ国内の公道で自動運転のテストを進めていると発表した。

ZMP、自動運転・予防安全技術開発向けの周囲環境センシングシステムを発売 画像
自動車 テクノロジー

ZMP、自動運転・予防安全技術開発向けの周囲環境センシングシステムを発売

ZMPは、自動運転や予防安全技術開発向けに、車両前方をミリ波レーダー、レーザーレンジセンサおよびカメラにてセンシングする「周囲環境センシングシステム」の販売を開始した。

ZMP、自動運転開発用の超小型EVを発売 画像
自動車 ビジネス

ZMP、自動運転開発用の超小型EVを発売

ZMPは、新型『コムス』ベースのロボットカーに走行経路生成機能を搭載した一人乗りロボットEV『RoboCar MV2 自動運転パッケージ』の販売を開始した。

警察庁、完全自動運転車向け免許制度を創設へ 画像
自動車 社会

警察庁、完全自動運転車向け免許制度を創設へ

国家公安委員会および警察庁は4月1日、運転免許制度に関する新しい指針を発表した。この指針は、Googleのロボットカーやトヨタや日産、アウディ等の完全自動運転運転車の登場に伴うもので、第一種普通運転免許に自動運転車専用のカテゴリーが新た設けられる見込み。

OKI、大型トラックの自動運転・隊列走行実験に参画…車車間通信技術を開発 画像
自動車 テクノロジー

OKI、大型トラックの自動運転・隊列走行実験に参画…車車間通信技術を開発

OKIは、「高信頼性車車間通信技術」を開発、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施した「エネルギーITS推進事業」において、車間距離4メートルでの大型トラック4台の自動運転・隊列走行の実験に参画し、成功を収めたと発表した。

【ATTT13】トヨタ友山常務、自動運転「安全運転を支援するための技術」 画像
自動車 テクノロジー

【ATTT13】トヨタ友山常務、自動運転「安全運転を支援するための技術」

トヨタ自動車の友山茂樹常務役員は3月13日に会場内で報道陣と懇談し、自動運転技術について「徹底的にやっている」としながらも、「基本的にはドライバーが主で、ドライバーの安全運転を支援するための技術というのが我々のスタンス」との考えを示した。

ZMP、自動運転可能な超小型EV・RoboCar MV2 を販売開始 画像
エコカー

ZMP、自動運転可能な超小型EV・RoboCar MV2 を販売開始

ZMPは、トヨタ車体製超小型電気自動車(EV)『コムス』をベースに、ステアリング、アクセル、ブレーキを制御可能とした研究開発用プラットフォーム車両『RoboCar MV2 タイプB』の販売を開始した。

ボーイング、無人航空機システムでADASIと協業 画像
航空

ボーイング、無人航空機システムでADASIと協業

ボーイングは2月18日、ADASI(アブダビ・オートノマウス・システムズ・インベストメント・カンパニー)と無人システムの中東における需要拡大に関し、両社がチーム協定を結ぶ契約書にサインしたことを明らかにした。

【オートモーティブワールド13】自動運転の開発ベース車、お値段700万円から 画像
自動車 テクノロジー

【オートモーティブワールド13】自動運転の開発ベース車、お値段700万円から

ゼットエムピーは、日本マイクロソフトと共同で開発している『RoboCar PHV』をオートモーティブワールド13の会場で公開した。トヨタ『プリウスPHV』をベースとした次世代自動車の開発用プラットフォームで、他の企業に対しても提供できるという。

【ロサンゼルスモーターショー12】米ホンダ、未来のポリスカーは自動運転車 画像
自動車 ニューモデル

【ロサンゼルスモーターショー12】米ホンダ、未来のポリスカーは自動運転車

ホンダの米国法人、アメリカンホンダは、11月28日に米国で開幕するロサンゼルスモーターショー12の恒例イベント、「デザインチャレンジ」に、『CHPドローン スクワッド』を出品すると発表した。

【ロサンゼルスモーターショー12】スバル、未来のポリスカーは折り畳みの自動運転EV…デザインチャレンジ 画像
自動車 ニューモデル

【ロサンゼルスモーターショー12】スバル、未来のポリスカーは折り畳みの自動運転EV…デザインチャレンジ

スバル(富士重工)は11月28日、米国で開幕するロサンゼルスモーターショー12の恒例イベント、「デザインチャレンジ」に、『SHARC』を出品すると発表した。

【CEATEC 12】日産、リーフベースのNSC-2015で自動運転デモ[動画] 画像
自動車 ニューモデル

【CEATEC 12】日産、リーフベースのNSC-2015で自動運転デモ[動画]

日産自動車は『リーフ』をベースにした『NSC-2015』を公開した。同車は、車両全周カメラによる周辺環境認識技術と、4Gモバイル通信による車両遠隔モニタリングシステムを採用した次世代ITと自動運転機能を搭載したテストカー。

【CEATEC 12】日産「眠れる獅子が目を覚ました」…自動運転EV 画像
自動車 ビジネス

【CEATEC 12】日産「眠れる獅子が目を覚ました」…自動運転EV

日産自動車は自動運転機能を搭載した電気自動車(EV)ベースのテストカー『NSC-2015』を出展している。NSC-2015の開発責任者を務める、電子技術会開発本部の飯島徹也ITS開発グループ担当部長は「眠れる獅子が目を覚ましたもの」と表現する。

自動運転のコンセプト案を提示、2013年ITS世界会議で技術アピール…国交省検討会 画像
自動車 社会

自動運転のコンセプト案を提示、2013年ITS世界会議で技術アピール…国交省検討会

国土交通省は29日、自動車の自動運転であるオートパイロットシステムに関する検討会(座長=朝倉康夫東工大大学院教授)第2回会合に、コンセプト案の概略整理案を提示した。

    先頭 << 前 < 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 > 次
Page 267 of 269