三陸鉄道北リアス線・大沢橋りょう建設の記録、JRTTが映像公開

大沢橋りょう
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  • 三陸鉄道北リアス線 大沢橋りょう~鉄筋コンクリートランガー桁の建設~

新幹線など鉄道施設の建設や貸付けを事業としている鉄道・運輸機構(JRTT)は、前身である日本鉄道建設公団が建設した三陸鉄道北リアス線・白井海岸駅~堀内駅間に架かる大沢橋りょうの建設記録を、YouTube動画として5月7日に公開した。

三陸鉄道北リアス線は旧国鉄久慈線として、1975年に最初の区間である久慈駅~普代駅間が開業した。大沢橋りょうはその途中の堀内駅~白井海岸駅間にある。白井海岸駅は1984年に新設されたもので、開業当時は堀内駅~普代駅間だった。

大沢橋りょうは三陸の海に程近く、車窓には太平洋が広がる。また並行する国道から撮影した大沢橋りょうの写真は三陸鉄道を代表するイメージだ。NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』でも印象的なシーンのひとつがこの橋梁周辺で撮影されている。

橋りょうの設計・建設にあたっては、陸中海岸国立公園の一角で溺れ谷型の地形を示すこの地点に、どのような形式で架橋すべきなのか、各界の専門家で構成された橋りょう会議を設け、美的にも構造的にも適した橋りょうの形式を探り続けた。

大沢橋りょうには地理的な条件からコンクリートアーチ橋が採用され、日本初の逆ランガー橋として完成した。「ランガー」は、水平桁が曲げモーメントを負担し、アーチ部分には圧縮力のみがかかる構造だ。「逆」というのは、アーチの上に水平桁があるから。アーチリブは鉄筋コンクリート製で、アーチスパンは86mとなっている。大沢橋りょうの建設では、アーチリブをまず完成させ、その後にアーチリブを下から支えていた支保工を撤去し、アーチリブを支保工として上部桁を架設している。

動画は、厳しい諸条件の中で検討を進め、工事を行なう技術者たちの物語だ。今回は検討から完成までの様子と、当時の貴重な工事記録映像をとなっている。JRTTでは鉄道建設の記録映画をいくつかYouTubeで公開しており、非常に興味深い。


《高木啓》

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