ランサムウエアの国際ハッカー集団を摘発、日米欧などの共同捜査で[新聞ウォッチ]

クロノス作戦の成功
  • クロノス作戦の成功

昨年7月、名古屋港のコンテナターミナルを管理するシステムが攻撃を受け、コンテナの搬出入が一時停止するなど、被害規模が世界最大級とされる身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」を使った国際ハッカー集団とされる「ロックビット」の主要メンバーが欧州で摘発され、同集団のウェブサイトが閉鎖に追い込まれたという。

日米欧などが参加する国際共同捜査で主要メンバーとみられる複数人を逮捕。30を超える関連サーバーの機能を停止させたほか、盗んだ情報を暴露するための「リークサイト」も閉鎖。押収資料を分析し集団の実態解明を進めるとみられる。

きょうの各紙も大きく取り上げられており、読売が1面トップで「国際ハッカー集団逮捕、『身代金型』ウイルス、日米欧豪当局」と報じたほか、日経なども社会面に「日米欧、ランサムウエア摘発」「データ回復に警察庁技術」などのタイトルで掲載している。

そのロックビットは「サイバー攻撃の実行役にウイルスを提供する集団で、2023年に関与が疑われる被害は1000件を上回った」(日経)という。さらに、「世界で数十億ユーロ(数千億円)相当の被害をもたらした」としているほか、訴追されたメンバーの中には、「日本や米国などへの攻撃に関与したロシア人が含まれている」(読売)とも取り上げている。

また、共同捜査には英国家犯罪対策庁(NCA)が主導し、欧州警察機構(ユーロポール)のほか、米、英、仏、豪などの警察が参加。作戦名は「クロノス」と名づけられたという。このうち、警察庁は捜査の過程でロックビットによる攻撃で暗号化されて使用不能になったデータの復元手法を世界で初めて開発し、国内の複数の企業などがデータの回復に成功したという。

「日本警察の技術力を国際的に示した形となった」(日経)とお手柄を評価する一方で、「国際的な情報共有の進展が奏功した形だが、新手のグループも出現して脅威は消えていない」とも指摘しており、今後、被害の抑止につながるか注目されるところだ。

2024年2月21日付

●ダイハツ、滋賀工場来月再開へ、認証不正ロッキーなど3車種(読売・9面)

●豊田織機是正命令へ、試験不正国交省、月内にも(朝日・28面)

●半導体世界最大手TSMC、熊本に台湾の巨人、工場建設バブル期待と不安(毎日・1面)

●道路情報AIで可視化、KDDIとトヨタ、サービス提供(毎日・6面)

●物流改革異業種タッグ、トラック融通や共同配送(日経・1面)

●欧州自動車販売、1月12%増(日経・17面)

●トヨタ、ランクル250の生産延期(日経・17面)

●日米欧、ランサムウェア摘発、最大級集団「ロックビット」世界で被害昨年1000件(日経・39面)

《福田俊之》

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