「エンジンブローまであとわずか!」温度管理を怠ると大変なことになる理由~カスタムHOW TO~

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エンジンオイルの温度を下げるためのオイルクーラー。油温上昇はエンジンへ多大なダメージの原因になるが、どういった場合にオイルクーラーは必要で、どういった場合には不要なのだろうか。

◆オイルは基本的に自然に冷やされている

エンジンを冷却しているのは冷却水、オイル、そして自然放熱の3つ。冷却水(クーラント)がエンジン内部の水路を循環しながら熱を奪って、ラジエーターで放熱している。ほかにもエンジンオイルはピストンやコンロッドなどに直接触れて、潤滑するのと同時に熱も奪っている。奪った熱は循環しながら放熱し、冷却水に熱を移したり、空気中に放出したりしている。

ポルシェ911の空冷と呼ばれるモデルはエンジンを走行風で冷やしているが、同時に大量のオイルを循環することでも冷却していて、空冷であると同時に油冷とも言える構造だ。バイクではスズキが長らく大型バイクに空油冷と呼ぶ空気とオイルで冷却する方式を採用していた。オイルも大きな冷却作用を持っているのだ。

そうなると心配になるのはオイルの温度。それだけ熱を吸収するのでエンジンオイルも高温になる。しかし、一般的な国産車のNAエンジンではオイルクーラーなしでもそれほど高い温度にはならない。循環しながら自然と放熱していて、100~110度くらいの範囲の温度で収まるのだ。それでも足りない場合はオイルクーラーを付けて温度を下げることになるのだ。

◆オイルクーラーは何度以上で必要なのか

そこでテーマになるのがオイルクーラーは何度から必要なのかということ。エンジンオイルは大まかにいうと130度を超えるのは好ましくない。それ以上になるとオイルが急速に劣化してしまう。即エンジンブローにはならないが、オイルが多大なダメージを受けてしまい、油膜切れなどの重大なトラブルを起こしやすくなる。オイルは即交換が望ましい。ざっくり言えば120度くらいまでならまったく問題はない。120度を超えてくると少し劣化が早くなる傾向にあるので、早めのオイル交換を心掛けたい。最高油温が120度以下で普段は100~110度くらいであれば適温。オイルとしては望ましい温度なので、所定のオイル交換距離まで走って問題ないだろう。

なので、高速道路で100度以上になってしまったのでオイルクーラーをつけようというのは誤った判断。まず必要ない。オイルは温度が低ければよいわけではなく、適温であることが重要。90~110度くらいが適温で、それ以上に低くても高くてもよくない。オイルメーカーでは適温で使ったときに最大限の性能を発揮するように、添加剤の調合などセッティングが行われている。なので、少しでも温度を下げれば、エンジンへのダメージが減るというものでもないのだ。

あとはオイル交換頻度の相談になる。例えば頻繁にサーキット走行をしていて、毎回130度近くになるので走行会に行くたびにオイル交換をしているというなら、オイルクーラーを装着してオイルのダメージを防げば、オイル交換頻度を伸ばすことが可能。コストの削減にもなる。そういった高温になることがないのであればオイルクーラーは不要なのだ。

◆オイルクーラー装着によるリスクもある

良かれと思ってオイルクーラーを装着したくなるが、実は結構リスクがあるパーツでもある。もしオイルクーラーやフィッティングからオイルが漏れた場合、油圧が下がってエンジンに即ダメージを及ぼす可能性が高い。フィッティングの箇所が増えるだけ漏れるリスクが増える。サンドイッチブロックからの入口&出口、オイルクーラーの入口&出口と接続箇所が増える。どうしても油温対策が必要でなければ、ないほうが良いパーツでもあるのだ。

また、ラジエーター前にオイルクーラーを置くと、ラジエーターの効率を悪化させるリスクもある。軽くフロントをぶつけた場合にオイルが漏れるなどのリスクもある。そういった意味では、水冷式オイルクーラーも選択肢に挙がる。アフターパーツではDRLやARCなどで販売されているが、クーラントでオイルを冷やすのが水冷式。スペース的に風が当たらない場所に設置できるので自由度が高く、エンジン始動直後はクーラントがオイルを温め、オイルの温度が高くなるとクーラントが冷やす役割を持つ。そういったメリットが大きく、近年純正で水冷式オイルクーラーの採用が増えている。GR86やZC33Sスイフトスポーツでもノーマルでかなり容量のある水冷式オイルクーラーが装備されているのだ。

《加茂新》

加茂新

加茂新|チューニングカーライター チューニング雑誌を編集長含め丸15年製作して独立。その間、乗り継いたチューニングカーは、AE86(現在所有)/180SX/S15/SCP10/86前期/86後期/GR86(現在所有)/ZC33S(現在所有)。自分のカラダやフィーリング、使う用途に合わせてチューニングすることで、もっと乗りやすく楽しくなるカーライフの世界を紹介。

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