世界一美しいクルマ『DS 4』はプロポーションがカギ…デザイナー[インタビュー]

DS 4
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  • DSオートモビルグローバルプログラム計画担当副社長のギヨーム・ドゥ・スュルヴィエ氏(左)とDSオートモビルデザイン・ダイレクターのティエリー・メトロズ氏(右)

ステランティスジャパンは『DS 4』を発表した。プレミアムCセグメントという競争激しい市場に参入するに際し、発表会では本国と結んでQAセッションが設けられた。そこでは多くのことが語られたが、その中でDSオートモビルがDS4に対しての期待値やデザインに対する思いをまとめた。

DSオートモビルグローバルプログラム計画担当副社長のギヨーム・ドゥ・スュルヴィエ氏(左)とDSオートモビルデザイン・ダイレクターのティエリー・メトロズ氏(右)DSオートモビルグローバルプログラム計画担当副社長のギヨーム・ドゥ・スュルヴィエ氏(左)とDSオートモビルデザイン・ダイレクターのティエリー・メトロズ氏(右)

◆DS 4はヒットしている

----:DSグループの全体についてですが、シトロエンのサブブランドから独立して8年経ちますが、現在の販売台数の動向、今後の目標などを教えてください。

DSオートモビルグローバルプログラム計画担当副社長のギヨーム・ドゥ・スュルヴィエ氏(以下敬称略):今後数年の予測としては10万台という数字を出しています。もっとも、これは状況によって調整していくものですので、ざっくりとした数字として捉えていただければと思います。

また、モデルミックスに関してですが今年の欧州での第一四半期時点(2022年1から3月期)を見ると、DS 4は3割を少し上回る非常に良い結果が出ています。そして他のDSモデルに関しては『DS 3クロスバック』が3割を少し割るくらい、『DS 7クロスバック』は3割半ば、そして3%が『DS 9』です。DS 9はどちらかというとニッチなモデルですのでこういった数字になっています。DS 4のPHEV比率は約4割という高い数字です。

◆フロントは変化していくが

----:デザインについてお伺いします。DSらしさを踏襲しながらも、DS 4はフロント周りの手法を変えたように思います。これは今後のDSモデルに共通するものなのでしょうか。

DSオートモビルデザイン・ダイレクターのティエリー・メトロズ氏(以下敬称略):今後に関してですが、フロント周りのデザイン要素でキープしたいものは当然あります。特にDSブランドのDNAとして今後残していきたいのはフロントの垂直方向のデイライトランニングライトです。また、今後DSブランドのデザインで変わっていくと思われる要素としてはフロントグリルがあります。これからは環境に優しいもの、そしてそのための技術を受け入れていく方向になるでしょう。そうすると当然エアダクトなどがいらなくなることも考えられますので、そういったところからもフロントグリルのデザインに変更がなされることは容易に想像できます。

DS 4DS 4

----:ではDSブランドとして守らなければいけないデザインアイデンティティは何でしょう。また、DS4のデザインコンセプトを教えてください。

ティエリー:DSブランドとして、そしてDS 4のデザインに関して、一番大事なのは全体のプロポーションを整えるということでした。良いデザインの6割から7割がプロポーションで決まるといえるでしょう。それほど重要なものなので、今回の開発にあたってはまずデザイン開発に入る前の設計の段階でプラットフォームから非常にハイレベルにプロモーションを決めました。そしてデザインを開発していったのです。ですので、DS 4を見ていただくと、非常に素晴らしいプロポーションに仕上がっていることがわかると思います。とても流麗ですし、大径ホイールのバランスがとてもいい。ですので、非常にユニークな新世代のハッチバックに仕上がっていると私は思っています。

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◆一丸となって

----:DSの新しいモデルを見るたびに通常の自動車メーカーではコストや生産技術の関係で生産化しにくいデザインを実現していることに驚きます。なぜDSオートモビルではこういったことが可能なのでしょうか。

ティエリー:デザイン室の“構造”と、日々のやり方が大きいように思います。1つの車種を開発する際にエクステリア、インテリアをはじめ、細かいところではホイールやライトなどバラバラにデザインしていることが実際には多いと思うんですね。しかし私たちはバラバラではなく必ず1つのフロアで一緒に空間を共有して話し合いながら進めていくことを心がけています。それがクリエイティビティとしてもとても重要ですし、非常に高いレベルで協力関係が出来上がり、結果につながっているんだと思います。

そしてコストや生産技術に関してですが、これもやはり、毎日のようにかなりの頻度でミーティングするようにして共に良いクルマを作るように目指しています。そうすることで協力関係が生まれ、非常に効率もよく、早いペースで作ることが出来ていると思います。

ギヨーム:つまりデザインチームだけではなく、コストに関わるチームも近くで仕事をしているのです。

----:しかし、いかに良い素材、良いデザインであっても、製造クオリティを保たなければ具現化できません。そこでお尋ねしますがDSオートモビルとしてシトロエンやプジョーと異なる製造クオリティを保つための何か秘策や心がけていることがあれば教えてください。

ギヨーム:まず、デザイン面でプジョーやシトロエンとの違いは、プロジェクトを立ち上げる1番最初にステランティスグループ内の他のブランドとどう差別化するか、どのように個性を持たせるかとはかなり気を使って決めています。

そしてクルマを作るにあたっては、サプライヤーに対してステランティスならではの要件もあります。ただ、何か違いがあるかといえば、その要件以上にコンセプトからして違うので、それを実行に移してるだけなのですけどね。


《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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